はじめに

§不動産取引に寄生するピンハネの実態

不動産取引には物件価格の授受の他にも色々なお支払いが発生します。
例えば住宅ローン手数料、登記費用、火災保険、オプション工事代金、引越費用、仲介手数料等です。
これらの取引をほとんどの方が人生最大の1回きりの不動産購入において熟知されておられるお客様は関係者でもない限り極めて稀です。
それを良いことに看板では「お客様ファースト」と謳って置きながらそれぞれにマージンを上乗せして、登記費用等は司法書士と協力してお客様にご提示する見積書に予めマージンを含ませて残金決済後に受け取るような中間搾取が横行しています。火災保険や引越代金にも斡旋された会社を利用するとマージンが発生しています。驚くことに、銀行の事務手数料とは別に本来支払う必要の無い項目を作り名目を変えてローンの代行手数料をせしめる業者も存在します。これらは、たかだか各数万円程度の中間搾取ですが本来お客様がお支払いする必要の無い支払いです。 不動産のお取引は大抵がハッピーで、たとえご離婚や止む無く不動産を手放さざるを得ないご事情のお客様におかれても、過去を清算してこれからの人生を再出発される門出の儀式の筈のお客様から、高っい仲介手数料を戴くほかに表では笑顔で愛想良く笑いながら裏では舌を出しているような寄生虫行為に甚だ違和感、嫌悪感を抱かざるを得ません。

仲介人は仲介業が仕事なのですからプライドを持って仲介料のみ有難く頂戴し、お客様の利益を最優先に追求すべきだと考えるのです。

 

§注文住宅・リフォームにおけるピンハネの実態

このお話を差し上げるとかなりのお客様が驚かれますが、TVCMや住宅展示場で相談カウンターでハウスメーカーの「紹介」を受けると、本来支払わなくても良い「紹介料」が発生することをご存知でしょうか。また、不動産会社で建築会社の紹介を受けたり、リフォーム会社を紹介されて請負契約を結ぶと紹介料と称してマージンが支払われることもご存知でしょうか。
業者間で話をしていると、本来100万円程度のリフォーム工事がマージンを100万円搾取されお客様が200万円支払われて儲かったとか、5500万円のマンションを仲介手数料を戴いてご購入戴き、デザイナーを入れ4000万円ものリフォームを施しお引渡ししたら施工業者から400万円紹介料を戴き儲かったなどの話を聞くことがあります。私は建築業界出身なので自身でその場で見積もることが出来るくらい「適正価格」を解っているので、お客様が知らないこととは言え、本当に恐ろしいことだなと思うとともに、このような悪しき慣習に甚だ違和感、嫌悪感を抱かざるを得ません。

仲介人は仲介業が仕事なのですからプライドを持って仲介料のみ有難く頂戴し、お客様の利益を最優先に追求すべきだと考えるのです。

 

 

§売却相談の実態

ご自宅のポストに週に何回も投函される大手不動産会社の売却査定チラシ。不動産売却の依頼を戴くがために、近隣相場よりも先ずは高めに売却価格を設定し、ひと月もすると「価格を下げないと売れない」と毎週のように売却価格の値下げを半ば強引に提案され続け、最終的には予め決まった業者に安く買わせて、中には個人的に担当者が卸した業者からバックマージンをやり取りしたり等行う呆れた業者が多々存在します。お客様の利益を最優先するのであれば、仲介人はより安全により高値で売却に努めるべきです。

今年に入り、国内最大手の仲介会社がバックマージン等のやり取りを防ぐ目的で司法書士等に○○不動産の名を棄損せしめる行為(バックマージンや接待等)を行った場合は厳重な法的措置を講じるとのお達しが出て、今後は不動産買取業者等に不動産を卸す場合は本店の専門窓口で一括して取り扱うとの「何を今更・・・」との呆れた措置が講じられましたが、今までバックマージンを得て生活してきた者たちが、突然梯子を外されても果たしてどう改善され純粋にお客様の大切な資産が好条件でお取引きされていくのか今後、見ものです。

大手の不動産仲介会社は規模は大きいものの、広告費に関しては支店・営業所の裁量でしかないため、広告の露出度は高いとは言えません。
弊社ではスピードよりも価格重視とのお客様には相場よりも高い金額から、より露出度・閲覧されている媒体を見極め広告を始め、広告の反響数やアクセス数をご提示させていただきながら価格のご相談をさせていただき、より高値で成約出来るよう努めております。

また、最近とても恐ろしいなと感じるのは、見た目上、安心安全で立派な仕上がりの「無料売却査定」のホームページを閲覧して見ると、免許番号等の記載が見当たらないので更に運営会社を調べてみると許認可を受けていない、資本金も最低限で、事務所の所在もペーパーカンパニーであったりして、酷いのは住所の記載すら無い、宅建業者で無い業者であることがほとんどで、そのようなホームページから売却査定を行ってしまうと、「売却されたい方」の個人情報が我々仲介業者に売り物として「不動産を売却されたい方の情報を買いませんか?」とセールスの電話がかかって来る仕組みになっています。

都道府県知事の許認可を受け営業している宅建業者は開業時に「反社会的勢力にかかわりがあるか」「前科者でないか」まで警察の調査を経て許認可を受けていますが、そもそも彼らは許認可を受けていないので「反社会的勢力」であったり、「反社会的勢力」の資金源になっている可能性もあり、顔を合わせることもなく、責任の所在も曖昧な、ただの口利きビジネス業者ですので注意が必要です。

また、今年に入り国内最大手の税理士法人が相続不動産を売却する部署を自社で立ち上げましたが、本来の相続登記や相続税等の税理業務に注力すれば良いものを、「取れるところからはなんでも取ってしまおう」という顧客の利益に相反するような法外な手数料のほか、建物解体や遺品整理、測量やありとあらゆる相続不動産に関する一切合切を取り仕切り、業者から上がってきた見積書に当たり前のように倍額近く請求するようなピンハネビジネスが始まりました。

この点につきましては一生生きているうちに相続というものは何回もあるものではございませんがぜひご注意いただきたく存じます。

 

§不動産仲介人のスキル

昨年の統計によると日本全国にあるコンビニエンスストアの数は約55,000軒だそうですが不動産屋は何軒登録があるかご存知でしょうか125,000軒超だそうです。
ご挨拶でも申し上げました通り、不動産業者は老若男女問わず、どなたでもなれる業種です。私もご多分に漏らさず独立開業した身ですが、一定期間修業した後、独立する人間が多いことも起因しているのかも知れません。

私が不動産業界に転職する際、大手不動産会社に入社するまでに説明会から筆記試験、適正試験、役員面接や社長面接、健康診断のほか身辺調査や前職調査を経たものですが、若い営業マンが多数在籍し、折り込みチラシやネット広告等大々的に広告を展開して集客している、いわゆる「営業会社」は面接のみで身辺調査や前職調査を行うところはまず皆無で、現在は宅建業の許認可を申請すると役員や専任の宅建士は警察が反社会的勢力や前科者でないことを調査を行いますが一般社員については何も調査されません。そのため営業担当者の名前をインターネットで検索したら前科がたんまり出てきたり、詐欺師等の経歴が過去にったことが露呈したりと言う、我が耳を疑うようなお話は意外と耳にする事実です。

また、一概には言えませんが不動産会社の社員(完全歩合制の会社は業務委託された者等)は転職を繰り返して不動産業に転職する率が他業種と比較しても多く、従って専門知識や不動産スキルが高いかと言うとそうではなく、そのため物件をご案内されるにしても、営業マンは案内係で、そのため必ず事務所から出発し、帰りも事務所の上司の元に連れて帰られという、ある種無駄な作業を強いられることが多く見受けられます。

それからとても大切なことですが、国は不動産取引について、契約に前もって物件や周辺の用途地域や制限等の重要事項説明を前もって行い充分購入者様にご理解いただいた上で契約するよう推奨している時代の流れに逆行して、今日見て気になった物件を即日契約させるよう誘導する営業会社が未だに居りますが、確かに不動産の売買は早い者勝ちではありますが、仲介手数料や余計な迷いが起きないようにか、何の心構えの無いお客様を捲くし立てて、気付いたら契約が終わっていた等という契約は是非ともお控えただきたく存じます。



§一般消費者を守るための保証について

不動産業を開業するためには国土交通大臣か都道府県知事許認可を経て免許を取得するとともに、所定の保証金を納める必要があります。これが供託金です。供託金は納め方により営業保証金弁済業務保証金分担金2種類に分かれ、どちらの場合でも必要な営業保証金の金額は同じです。営業保証金もしくは弁済業務保証金分担金は、一般消費者を守る目的で使われます。業者の倒産などで直接弁済が受けられずお客様が泣き寝入りしてしまわないように、あらかじめ第三者が一定金額を預かっておくシステムです。不動産取引によりお客様に何らかの損害が発生したときには、供託された営業保証金や弁済業務保証金の範囲内で弁済を行います。日本最大の建売会社グループ等は営業保証金(本店:1,000万円、支店等:500万円)を供託して営業しておりますが、なかなか1,000万円を供託所に預けたままですと負担も大きくなりますし、死に金になってしまうため、大手不動産会社や弊社も、加入する保証協会の弁済業務保証金分担金を支払い、加入する保証協会が供託所に営業保証金を供託して不動産業を営業しています

お客様の中にはブランド最重視(=信用度?)という方もある一定数いらっしゃるかとは思われますが、不動産取引においては前述のように保証については全くの同条件であり、大手仲介会社は人材育成もシステマイズされていて仲介人のスキルは及第点、いわゆる「営業会社」の仲介人だとスキルは本当に担当者次第となってしまいますが、大手仲介会社だと私の年齢だと店長クラスか既に「独立しないさい」と独立や転職を促されるお年頃となりますが、であればこそ意味も無くお客様にわざわざご来社戴いたり、曖昧な物件や周辺環境のご説明等でなく、あるがままの正確な情報をご提供出来るのではないか、本来のお客様の利益最重視ができるのではないかと平成30年に独立起業致しました。